埋葬しない・お墓を持たない『散骨』
散骨は『節度を守って行えば処罰の対象ではない』との見解で、違法ではないというグレーな状況です。
日本は人口減少の過程にありますが、新しく生まれる子供が減るだけでなく、今後は亡くなる高齢者の数がどんどん加速して増えていきます。その時に散骨に関するトラブルが増えれば、新たに法律や条例ができて取り締まりが厳しくなり、今後散骨ができなくなる可能性もあります。
許可証や申請は必要なし
お墓を引っ越す場合は改装許可証が必要ですが、散骨の場合は役所へ書類を提出したり許可を得たりすることもありません。
遺骨を撒く場所にも制限あり
散骨する場所は山、海、空など色々ありますが、だからといって自分の好きな場所に勝手に撒くことはできません。
自治体の条例で撒く場所を限定していたり、そもそも撒くことを禁止している場所もあります。
北海道や伊豆周辺は条例が多く詳細なガイドラインが設けられており、違反すると罰金刑が科せられることもあります。これら条例の対象者はおもに散骨業者に対するものですが、個人でも十分下調べをして、違反しないよう気を付けなくてはなりません。
自宅の庭に散骨するケースは意外とあるようです。
遺骨を自宅に埋めるのは埋葬法に反してしまいますが、散骨ならば問題はありません。
ただ将来的に自宅を売却する可能性があるなら、自宅の庭に散骨することはお勧めできません。
人骨を撒いたことは物件売買時に重要事項として説明しなければなりませんし、売れにくくもなります。
散骨する時期
海洋散骨の場合、撒く時期には気を付けましょう。
梅雨や台風などで出航できないこともあります。多くの人は土日祝日に散骨の予約をしますので、台風の時期には順延が続いて1ヶ月延びたというようなこともあります。
また山に散骨する場合、冬は雪の問題で足元が悪くて山自体に入れないということも考えられます。
このように、どこに撒きたいか、いつ撒きたいかによって散骨できる場所の選択も変えざるを得ないでしょう。
自分で遺骨を粉状にできる?
散骨する場合、遺骨は1片2mm以下の粉状にしなければなりません。
法律に規定がある訳ではありませんが、破片が大きい状態で撒いて、事情を知らない人が発見した場合、事件性があると誤認されかねません。そのため遺骨を細かい粉状にすることは、共通のルールとして認識されています。
祭祀承継者や遺族が葬送の目的で遺骨を粉上にする場合、損壊罪にはあたりません。
自分で遺骨を粉状にするのは違法ではありませんが、かなり大変な作業になります。
火葬後の焼骨はもろくなっているため、根気がある人なら、少しずつすり潰していけば絶対に自分で出来ないということはありません。
ただし洗浄や乾燥、不純物の除去やカビ・湿気の対策など、ただすり潰すだけではない作業がたくさんあります。
設備もないのに無理に自分でやろうとすると、微量でも下水に流してしまう事態になりかねません。
全収骨した遺骨の量でもおよそ5万円ほどで粉末化できるため、専門業者に依頼するのがおすすめです。